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平成の九大文系数学 2000年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では九州大学の2000年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の九大理系数学 -2000年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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点の軌跡と、それにまつわる整数問題です。

 

(1) 問題文の条件に従ってRの軌跡を計算しますが、方べきの定理など初等幾何を使うと楽になります。Rの軌跡は、よく知られている図形の式にはなりません。

 

(2) (1)の結果に(1/m, 1/n)を代入して整理すると、m-1が平方数になっていることが必要だと分かります。

 

<筆者の回答>

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第2問

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高々2次式の性質を調べる問題です。

 

(1) 3つの方程式を連立してp,q,rを求めましょう。

 

(2) f(x)-g(x)は高々2次式なので、f(x)-g(x)=0の解は高々2個なのにもかかわらず、x=a,b,cと3つ解があります。これを解消するには、f(x)-g(x)が恒等的に0になるしかありません。

 

(3) h'(x)を計算して右辺を計算すると、分子が高々2次式となるので、(2)を利用できます。

h'(x)の計算では、理系で習う「積の微分」を使っていますが、全部展開して微分しても同じ結果になります。

 

<筆者の回答>

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第3問(a)

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理系第1問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第3問(b)

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命題の真偽判定の問題です。

 

(1)教科書レベルの有名な背理法の証明です。

 

(2) 整数係数の2次方程式の解が無理数になることはざらですよね。

 

(3) 反例はいくらでも見つかりますが、証明に適するのは1+√2といった、「整数+ルート」の形でしょうか。円周率πなども有名な反例ですが、高校レベルで証明することが不可能ですので、これは反例にしないほうがよいでしょうね。

 

(4) cn = a^n + b^n の漸化式を作るとよいでしょう。

 

<筆者の回答>

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第3問(c)

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正五角形の性質を調べる問題です。

 

(1) 円周角の定理を使うと、等しい角度がいくつも登場します。ここから二等辺三角形がたくさん登場します。

 

(2) 正五角形の対角線は、黄金比に分割されるという有名な性質を利用します。これを使って、いくつかの三角形に正五角形を分割して比を調べるとよいでしょう。

 

(3) (2)で使った知見をそのまま利用します。

 

<筆者の回答>

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第4問(a)

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確率の問題です。

 

(1) P(X=m)を計算していきましょう。1枚の公平コインが箱に入る確率は1/4となることに注意しましょう。

 

(2) P(X≧1)を計算すると、最終的に指数関数と定数との大小比較になります。対数を使わずとも検算で調べられます。

 

(3)考え方は(1)と同じなのですが、m×2項係数のΣの計算が非常に大変です。経験がないと相当厳しいです。

方針は、Xの分散V(X)を計算するために、Xの期待値E(X)と、X^2の期待値E(X^2)を計算します。

 

<筆者の回答>

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第4問(b)※都合により省略

 

第4問(c)

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理系第4問(c)との共通問題で、A~Cの座標が具体的な数値になっています。

詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

<筆者の回答>

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