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平成の阪大文系数学 2015年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では大阪大学の2015年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の阪大理系数学 -2015年- - ちょぴん先生の数学部屋

第1問

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理系第2問との共通問題です。

いつもなら理系の記事を見ろというところですが、理系のセットを解いた当時は文系と共通問題という事実を知らないまま解いていたので、もろに微分を使いまくって解いてしまっていました。

今回文系向けとして、改めて微分を使わない方法を考えることにしました。

 

真ん中の複雑な式を、[ x√(1-y^2) + y√(1-x^2) ] ^2 と因数分解して考えるのは共通です。

√の中の形が、「x,yをsin,cosで置いてくれ!!」と言わんばかりの形をしているので、x=cosθ, y=cosα (0≦θ,α≦π)と置きます。cosで置く理由は、ルートを外すときにsinの形に気軽に外せるようになるからです、sinで置いてしまうとcosがプラスかマイナスかという面倒ごとが増えてしまいます。

 

すると、加法定理でsin(θ+α)という超シンプルな式にまとめることができます。これであれば、不等式が成り立つのも一目瞭然ですね。

 

万一、[ x√(1-y^2) + y√(1-x^2) ] ^2の因数分解に気付かなくても、この変数変換を使えば解き進めることができます。

 

こうして解いてみると、理系の記事で紹介した微分を使って解く方法は、相当に頭の悪い方法でしたね。。

 

<筆者の回答>

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第2問

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直線、放物線、円の接する条件を考える問題です。

 

(1) 円と接する条件は「中心と直線の距離=半径」の処理で、放物線と接する条件は「連立した2次方程式が重解を持つ条件」の処理で、それぞれ考えられますので、出てきた2つの条件を連立すればよいでしょう。

 

(2) (1)ができていれば、基本的な積分の問題です。

 

<筆者の回答>

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第3問

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三角形の面積を考える問題です。

最初にA(-1,0), B(1,0)となるように座標を設定すると見通しが良くなります。

 

(1)まずは、θをつかってP,Qの座標を求めましょう。この後、Rの座標を求めたくなりますが、かなり複雑な式になりそうです。

PQの長さは比較的簡単に求まりますが、QRの長さを求めるのは難しい、、そんな状況になります。

ここで、AQを底辺にすると、△APQの面積(簡単に求まる)と△AQRの面積(直接計算しにくい)の比は、PQとQRの長さの比になることに注目します。

PQとQRの関係式を簡単に調べられる初等幾何の定理がありました。「方べきの定理」です。方べきの定理をつかうと、AQ×QB= PQ×QRと関係式が求まります。

 

ここまで情報が揃えば、△AQRの面積を調べることができます。

 

(2) (1)の結果から、θ=45°のとき最大になることが分かりますので、ここで満を持してRの座標を計算します。こうしてA, B, P, Rの座標が勢揃いしたので、ベクトルの関係式を作ることができます。

 

<筆者の回答>

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