旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。
この記事では北海道大学の1993年の問題を取り上げます。
理系の記事はこちら↓
平成の北大理系数学 -1993年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
第1問
フェルマー数に関する問題です。
(1)問題文の指示通りに帰納法で証明しましょう。
(2) (1)の結果を使えばan+1の式は簡単に示せ、n+1=lとすると、alはamで割ると必ず2になり、anは全部奇数なので、ユークリッドの互除法からalとamが互いに素だと分かります。
この問題におけるanを「フェルマー数」と呼びます。(2)で証明したのは、「相異なるフェルマー数は全て互いに素」という重要な性質で、この性質から「素数が無限個存在する」ことが言えます。フェルマー数は無限個あり、そのそれぞれが別々の素因数を持っているからです。
余談ですが、フェルマー数のうち素数のものを「フェルマー素数」と呼びますが、フェルマー素数が無限にあるか否かは未解決問題です。n=1,2,3,4までは素数なので、フェルマー自身は、「フェルマー素数は素数製造機だ」と考えたようですが、後に大天才オイラーによってn=5の場合が素数でないことが証明されました。式の形をみれば分かる通り、n=5の時点でとんでもない桁数になるので、素数かどうかを判断するのが難しいわけです。
<筆者の回答>
第2問
放物線と円との最短距離を求める問題です。
(1)C2上の点を(cosθ, 1+sinθ)とおいて、PQをt,θの式で表しましょう。tを固定してθを動かしてl(t)を決定します。2重根号がうまく外れてくれる形をしています。
(2)tを動かしてl(t)を最小化します。微分を使わずとも平方完成で十分です。
<筆者の回答>
第3問
正三角形の1次変換に関する問題です。
(1) Dの座標を計算してしまえばよいでしょう。
(2) Xが具体的に分かっていなくてもP=f(A)という性質だけでSの座標は求まります。
(3) B,Cの移動先をQ,Rとすると、Sは辺QR上にあるので、移動後の正三角形の向きが決まり、Q,Rの座標が具体的に求まります。これを使ってXの成分を決めていきましょう。Q,Rのどっちが上にあるかで答えが2通り求まります。
<筆者の回答>
第4問
放物線の交点に関する問題です。
(1)C1,C2の交点は、両者の式を連立した2次方程式の実数解になります。2次方程式の判別式を計算してそれが正であればよいわけです。p=cosθ, q=1+sinθとおけばAがC上にあることを表現できます。
(2)解と係数の関係を使って面積を計算する典型問題です。
<筆者の回答>