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平成の阪大文系数学 2011年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では大阪大学の2011年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の阪大理系数学 -2011年- - ちょぴん先生の数学部屋

第1問

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恒等式の問題です。

 

一見してごちゃごちゃしていてゴツい式ですが、恒等式の基本に帰りましょう。

l,m,nにどんな整数を突っ込んでも成り立つと言っているので、楽できる特別な値を代入してしまえばよいのです。

 

最初は、明らかに仲間外れなnだけ残るようにl=m=0としてしまいましょう。するとx,yの条件が求まり、それをベースに今度はmを残して、、、などとやってあげれば(x,y,z)が求まります。

 

しかし、これで終わりにしてはいけません。ここで求まった(x,y,z)は、l,m,nに特定の値を入れたときにだけ成り立つ「必要条件」に過ぎません。ちゃんと求まった(x,y,z)をもとの式に代入してl,m,nの恒等式になっていることを確かめ、「十分条件」でもあることを確認しないといけません。

 

<筆者の回答>

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第2問

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理系第3問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

理系でも十分すぎるほどの難問だったので、文系では特に(3)は捨て問扱いで構いません。

 

第3問

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ベクトルの条件式について考える問題です。

 

(1) 問題文の指示の通りに、s,tをx,yの式で解いてしまいましょう。任意の2次元のベクトルは、1次独立な2本のベクトルの和の形で表現することができます。この式の形を、「線形結合」なんて呼んだりします。

 

(2) p=v1, p=v2での成立を仮定して、(1)を使ってp=vの場合を証明することができます。vがv1とv2の線形結合で書けているので、(*)もv1の式とv2の式の線形結合で書くことができます。このような性質を「線形性がある」といいます。

 

(3) v1とv2の内積などを求めることによって、p=v1の場合の式と p=v2の場合の式をa,b,cの式に直すことができます。あとはこれらを連立しましょう。

 

<筆者の回答>

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