旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。
この記事では京都大学の2010年の問題を取り上げます。
理系の記事はこちら↓
平成の京大理系数学 -2010年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
第1問
小問集合です。
(1) 直線と放物線で囲まれた面積を計算する問題です。解と係数の関係を利用して積分計算をする典型問題です。
(2)図形問題です。
BC=3xとおけば、角の2等分線の性質からBD=2x, CD=xが分かるので、余弦定理を使ってxを求めてあげましょう。(1,2という長さから予想がおよそついてしまうのは内緒)
余弦定理を使わなくても、二等辺三角形や相似をつかって中学数学の範囲でxを求めることも可能です(別解にて紹介しています)。
<筆者の回答>
第2問
線形計画法の問題です。
領域を図示して、2x+yについては、直線k=2x+yと領域が交点を持つkの条件、x^2+y^2については、円x^2+y^2 = r^2と領域が交点を持つr^2の条件として処理しましょう。
<筆者の回答>
第3問
確率の問題です。
A,B,C,D,Eの順番に並ぶとすると、問題文の条件はA+B=D+Eとなります。A+B+C+D+E=15となるので、Cが奇数でないと条件がクリアできません。よって、C=1,3,5で場合分けして、(A,B,D,E)の組み合わせを調べましょう。
<筆者の回答>
第4問
正10角形を10等分した三角形の性質を調べる問題です。
これは、「正五角形の対角線に黄金比が出現する」という話題を知っていると取り掛かりやすかったのではないでしょうか。
OA=1としても一般性を失わないので、以後この長さで考えていきます。
このときOP=xと置いてあげると、問題文の方程式を解くことでx=(√5 -1)/2 となって黄金比の値が登場します。
次にAB=aとおいてaを余弦定理で計算すると、cosπ/5の値を調べないといけないと分かります。
この値を調べる典型的な方法は、θ=π/5とおいて、cos2θ=-cos3θとなることを使う方法です。この方程式はcosθの3次方程式となって解くことができます。
最終的にx=aが分かって証明完了です。
<筆者の回答>
第5問
体積の計算問題です。
最後の積分計算こそ文系範囲でできますが、やっていることは文系の人にはなじみがない作業だと思います(理系の人にとっては頻出の計算ですが)。
(1)これは文系範囲でも頻出の問題です。垂線の足Hの座標を文字で置いて、OH⊥AHという条件をベクトルを使って処理するとよいでしょう。
(2)はやることがもろ理系向けの問題となっています。
元々積分は面積を計算する手法でした。これと同じように体積は、断面積を積分することで計算することができます。
今回はOFを回転軸にしているので、OFに垂直な平面で立方体を切った断面をOFを軸にして回転してできる円を、OFの方向に積分していきます。
切断面とOFの交点をH(h/√3, h/√3, h/√3)とおいて、hで場合分けして断面を調べていきましょう。その後hで積分します。
ここで、Hを(h/√3, h/√3, h/√3)という奇妙な形で置いているのには理由があります。
積分するときにhを動かしますが、hを1だけ動かしたときにHも長さ1だけ動かないと正しく体積が計算できません。なので、そうなるように√3で割って調整していたというわけです。
この注意点含めて文系の受験生に解かせる問題ではありませんね。。理系の受験生であっても旧帝大レベルでないと苦戦するレベルですので。
<筆者の回答>