ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の京大文系数学 2007年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では京都大学の2007年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の京大理系数学 -2007年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

f:id:stchopin:20210902201845p:plain



小問集合です。

 

(1) 文系なのに「行列」が出題されるんですね。。ケーリーハミルトンの定理を使ってA^2をAとEで表現して与式に代入する、という典型問題です。

 

(2)確率の問題です。「PがOにいる状態」と「PがA~Dのどれかにいる状態」の移り方を調べて確率漸化式を立てればよいでしょう。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20201126213922p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20210902201906p:plain



回転体の体積の問題です。

 

3次関数とlで囲まれる部分を、方程式を解いて調べて積分しましょう。3次関数の細かな増減を調べずとも体積を出すには十分です。

積分は6次式の積分になりますが、力ずくでやるしかありません。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20201126213944p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20210902201923p:plain



理系第3問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第4問

f:id:stchopin:20210902201940p:plain



空間上の、ねじれの関係にある2直線の距離を調べる問題です。

 

条件に従ってP,Qの座標を文字で表現して、PQ^2を計算しましょう。最小値が知りたいので、平方完成で処理すればよいです。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20201126214009p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20210902202000p:plain



命題の真偽判定の問題です。実はpはqの誘導になっています。

 

(p) 「あるnに対して」という表現が分かりにくいので、

「√nと√n+1が両方有理数になるようなnが存在する」と言い換えるとよいでしょう。

直感的にそんなnはなさそうに思えるので、背理法で「pは正しくない」を証明すれば良さそうです。

 

√nが有理数なら、√nは整数、つまりnは平方数だと証明することができるので、nとn+1が両方平方数にならないことを証明すればOKです。

 

(q) こちらも背理法で処理します。

√n+1- √nが有理数だと仮定すると、両辺に√n+1+ √nをかけてあげれば√n+1+ √nも有理数だと分かります。この2つの結果から、√nと√n+1が両方有理数になります。これは命題(p)そのものですね。(p)が不成立なことは証明済みなので、矛盾が導けました。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20201126214031p:plain

f:id:stchopin:20201126214054p:plain