ちょぴん先生の数学部屋

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平成の北大文系数学 2004年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では北海道大学の2004年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の北大理系数学 -2004年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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8次式の最小値を求める問題です。

 

とにかく、x^8-y^8をaの式で表すことに終始するのですが、8次の2項展開は厳しいのでうまく工夫したいです。

今回の場合は、x+yとx-yの式がかなりスッキリした形になるので、これら2つの形が出てくるように因数分解して式変形できるとよいでしょう。

最終的な結果についても、aの式とするよりも、a^2+1/a^2の式と見なしたほうが処理が楽になりますし、微分も不要です。a^2+1/a^2の最小値は、相加相乗平均を使うとa=1の時2になりますね。

 

<筆者の回答>

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第2問

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絶対値付きの積分関数の問題です。これは難問だと思います。

 

(1)F'(x)については、積分の中身にxを突っ込むという形で計算できます(絶対値付きのまま答えとしてよいと思います)。すると、g(x)=| |x| -1 | を使って、F'(x) =g(x+a)-g(x)と書けますが、F'(x)=0の解をそのまま代数的に解くのは場合分けが煩雑すぎて困難を極めます。なにせ絶対値が2つもついているので。ここは、図形的に解いてみましょう。つまり、y=g(x)のグラフとy=g(x+a)のグラフの交点を視覚的に調べるわけです。

 

y=g(x)のグラフはW型のグラフをしていて、y=g(x+a)のグラフはそれをx方向に-aだけ平行移動したものになります。aの移動の大きさによって交点の様子が変わるので、場合分けしましょう。

 

(2)(3)については解き方は一緒です。(1)で描いたグラフからy=g(x)とy=g(x+a)の大小関係を読み取ってF(x)の増減を調べることができます。

極値の計算では、やはり図形的に面積の計算に帰着させるとよいでしょう。

 

<筆者の回答>

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第3問

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立方体に関する問題です。Bを原点とするxyz座標を設定すると見通しが良くなります。

 

(1)平面ACFの式がx+y+z=1, 直線BHの方向ベクトルが(1,1,1)となることからP,Qの座標が求まります。

 

(2)(3)内接球がxy平面、yz平面、zx平面に接するので、内接球の半径rを使ってO(r,r,r)と表現できます。あとは、Oとx+y+z=1の距離がrになる、という条件からrを求めればよいでしょう。

 

<筆者の回答>

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第4問

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理系第5問との共通問題で、理系の(4)が省略されています。

詳しくは理系の記事をご覧ください。