ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大文系数学 2002年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では名古屋大学の2002年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の名古屋大理系数学 -2002年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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大小比較の問題です。

 

5乗根が邪魔なので、それを排除できるように大小比較したいです。それには、aとc, bとcの比較を優先し、aとbの比較は最後の手段、という心持でかかるとよいでしょう。

(1±1/5n)^5 を2項展開すると、1±1/nが出現して5乗根の部分がきれいに消えてくれます。幸いにして、aとbの比較を比較せずとも大小関係が求まります。

 

理系の人であれば、a,bの式を見た瞬間に「テーラー展開」を思いついたと思います。複雑なxの関数を多項式で近似するテクニックで、物理や工学での近似にもよく使われます。

この問題は、その中でもとくに有名な、(1+a)^n ≒ 1+na (aは絶対値が十分小さい実数)という近似式です。

 

<筆者の回答>

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第2問

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外接円を次々作っていく問題です。

 

(1) Cnの式を、an,bnの式で書いて、C0と接する条件を考えましょう。中心間距離=半径の和で良いですね。

 

(2) さらにCn-1にも接することからanの漸化式を作ることができます。2乗を外す場面が出てきますが、anが単調減少なことに注意しましょう。

 

<筆者の回答>

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第3問(a)

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ベクトルを使った軌跡の問題です。

 

(1) A(a,a^2), B(b, b^2)とおいて、tを直接計算しましょう。

 

(2) t=2のとき、abの値が2通り出てくるので、それぞれについて考えます。

Pの軌跡はy=x^2 -2abと求まるわけですが、aとbが実数という条件から、(a-b)^2≧0という条件が付きます。

求める軌跡は2種類のグラフになりますが、あってんのかなぁ?

 

<筆者の回答>

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第3問(b)

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三角形の外周を考える問題です。

 

(1) AP=p, AQ=qとおくと見通しが良くなります。面積の条件からpとqの関係式が求まるので、余弦定理でPQを求めましょう。

 

(2)相加相乗平均を使うとuの最小値が求まり、lはuについて単調に増加することを利用します。

 

<筆者の回答>

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