ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東大文系数学 1993年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では東京大学の1993年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の東大理系数学 -1993年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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3次関数の極値に関する問題です。

 

極大値と極大値の両方が-1≦x≦1にあるということは、f'(x)=0の解が2つとも-1≦x≦1にあることになるので、判別式、軸の位置、端点に注意し検討しましょう。

 

<筆者の回答>

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第2問

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理系第2問との共通問題で、(1)の必要条件のみ求める問題になっています。

詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第3問

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点の領域図示問題です。条件を求めることと、その図示の両方が難しい捨て問レベルの問題でしょう。

 

u,vをx~zの式で表現しようとすると、x≧1/k, y≧1/k, z≧1/kがうまく処理できずに詰んでしまいます。ここは、逆に考え、x,y,zをu,vの式で表現して、u,vの不等式に落とし込んであげましょう。これで一応u,vの領域の式は求まります。

 

ところが、それら領域の式自体がkの式になっているので図形の位置関係が判然とせず図示しにくいです。とりあえず各境界の交点を求めて、座標の大小関係を調べましょう。ここで、x≧1/k, y≧1/k, z≧1/k, x^2+y^2+y^2=1というそもそもの条件自体から、k≧√3にkが制限されることに注意が必要です。

 

<筆者の回答>

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第4問

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複雑な積分の問題です。これも(特に文系向けでは)発想が必要な難問です。

 

まず4次方程式は直接解くことができるので、g1, g2自体は比較的簡単に求まります。しかし、明らかに積分するには複雑な形をしていて、そのまま文系範囲では明らかに計算できません。

(理系範囲では√の中をそのまま置換する置換積分で解けますが、理系の受験生でも頭を悩ませる積分計算です。そちらは別解にて紹介しています)

 

ここは理系の問題での類題経験がいる発想になりますが、「逆関数」を考えます。y=g1(t) - g2(t) とおいて、tをyの関数f(y)で表してあげます。積分とは面積の計算でしたから、f(y)をtで積分した結果で、求める積分値を表現することができます。f(y)はyの4次関数になるので、文系範囲でも積分できる形になります。これを使って、積分計算をしましょう。

 

文系の方には馴染みがない積分の解き方だと思うので、厳しかったと思います。

 

<筆者の回答>

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