ちょぴん先生の数学部屋

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平成の九大文系数学 1992年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では九州大学の1992年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の九大理系数学 -1992年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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理系第3問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第2問

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直交関数系に関する問題です。

 

(1) 素直に積分値を計算しましょう。結果として、m≠nの時は積分値は0に、m=nの場合だけ0でない値になることが分かります。このような性質を持つ関数の集まりを「直交関数系」と言います。

なぜ直交と呼ぶかというと、関数の積分をベクトルの内積になぞらえて考えれば、内積=0のときにベクトルは直交するからです。

 

(2) (1)の結果を使って、f(x)Pk(x)を積分して考えましょう。

 

直交関数系という考え方は大学数学でもよく出てくる考え方で、一番有用な例が、波形をsinとcosの足し算に分解する「フーリエ級数展開」という操作です。この操作は、理系で勉強する話ですが、cosmx, sinnxは、積分区間-π≦x≦πの積分について直交関数系になっていることがベースになって作られている理論体系です。

 

ちなみに、この問題文の多項式は「ルジャンドル多項式」と名前が付いており、直交関数系の有名な例です。

 

<筆者の回答>

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第3問

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図形問題です。

 

(1) 正弦定理を使うとABが求まり、三角比を使うことでyの式が求まります。2倍角、3倍角の式を駆使して、tanxの式に統一してあげればsの関数になります。

 

(2) (1)の結果を使って変形すると、(1-y)/yは分母を相加相乗平均が使えそうな形にできます。ところが、相加相乗平均の等号成立は、このxの範囲からは外れてしまいます。

X+1/Xの形の関数は、Xが1から離れれば離れるほど増加するので、1により近いx=π/6の時に最小になります。(この事実は、文系向けには既知としていいのかしら?)

 

もちろん、分数関数の微分を知っていれば、直接微分して調べてもOKでしょう。

 

<筆者の回答>

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第4問

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プレゼント交換を題材にした確率の問題です。この記事を書いているのがクリスマスの直前だったりするので、時期的にもぴったりの題材ですね(笑) 今年の場合はコロナ禍ということもありできるかどうかはわかりませんが。

 

A,B,C,Dのプレゼントをそれぞれa,b,c,dとして、A,B,C,Dのもらうプレゼントを(□,□,□,□)と表記して考えると見通しが良くなります。

 

(1)プレゼント交換の総数は4!=24通りです。そのうち、Aがaを貰う貰い方は3!=6通りですね。

 

(2) Aがbを貰って、どれかがダブるような貰い方を列挙しましょう。

 

(3) 自身のプレゼントをもらわない貰い方を全て列挙しましょう。

 

<筆者の回答>

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