このシリーズでは、平成の東北大文系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
基本的に文系ユニーク問題のみ解きますので、理系との共通問題については、理系の記事をご参照ください。
理系の記事はこちら↓
平成の東北大理系後期数学 -2010年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
9回目の今回は2010年になります。
※2011年は、東日本大震災の影響で中止になっています。
第1問
理系第1問と共通の問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。
この問題を筆頭に、このセットは例年に比べてもかなり解きにくいセットだったと言えると思います。
第2問
ベクトルの問題です。
(1)AP:PNの情報が必要になりますが、これはメネラウスの定理を使うことで簡単に求まります。
(2)△ABPの外接円をC(中心Q)とすると、CはlとAで、mとBで接することが分かります。円の接線の性質から、QA⊥l, QB⊥mが分かり、さらにQA=QP=QBです。これらの情報を利用してOA・OBを求めていきます。
やってみるとわかりますが、QをPと同じようにOQ=aOA+bOBと表現して処理しようとすると計算が泥沼にはまります。なので、あえてOQのままにして計算するのがミソです。
<筆者の解答>
第3問
確率・期待値の問題です。
(1) 初戦からk連勝する確率qkを計算し、Σk*qkで期待値を計算する流れになります。k=nのときだけqkが例外扱いになることに注意です。(k≦n-1なら、k試合目まで連勝して、k+1試合目で『負ける』状況が含まれます)
期待値の計算においては、1次式×等比数列のタイプのΣ計算が要求されますが、これは公比をかけて差をとるのが定番の解き方です。
(2) とにかく、問題文の不等式を如何に分かりやすく解釈できるかがポイントの問題です。
ak+1 -ak を計算すると、k+1試合目で勝てばak+1≧ak、負ければak+1≦akとなることが分かります。さらに後者の等号成立条件がtk=0となることに注意すると、問題文の不等式は、
「初めて勝った試合からm試合目まで連勝し、m+1試合目で負ける」という意味になることが分かります。
(3) 目的のΣは、2次式×等比数列の形になっていて、(1)でやった1次式×等比数列以上に厄介な計算になります。
とはいえ、やり方そのものは「公比をかけて差をとる」で全く同じです。(1)の結果もうまく利用すると計算がだいぶショートカットできます。
<筆者の解答>
第4問
積分の計算問題です。
f(x)の形状を把握したうえで、問題文の積分をひたすら計算して平方完成し最小化します。
方針は至って簡単なのですが、絶対値の存在も相まって計算がとにかく面倒です。
<筆者の解答>