このシリーズでは、平成の東北大文系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
基本的に文系ユニーク問題のみ解きますので、理系との共通問題については、理系の記事をご参照ください。
理系の記事はこちら↓
平成の東北大理系後期数学 -2000年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
19回目の今回は2000年になります。
第1問
三角比の計算問題です。
(1)30°について半角の公式を使ってあげればよいでしょう。
(2)正弦定理を2回使ってあげることでsinθが計算できますが、結構分母が汚くなってしまいます(2重根号も残念ながらうまく外せない形です)
<筆者の解答>
第2問
3次方程式が整数解をもつ条件についての問題です。
pに関係なくx=1は問題文の方程式の解になっているので、残った2次方程式の解が2つとも整数になるようにpを決めていきます。
整数解をa,bとして、解と係数の関係を使ってpを消去してa,bだけの方程式にしてあげれば、因数分解を使ってa,bを特定することができます(pは「実数」で自由度が高すぎるので、これを真っ先に消してしまうのが基本です)。
<筆者の解答>
第3問
整数に関する証明問題です。
(1)a,bがともに奇数だと仮定したときに矛盾が生じることを導く、という背理法でよいでしょう。注目ポイントは、「平方数を4で割った余りは0か1である」という事実です。
(2)aとbが偶数だとするとcも偶数になります。これを利用して変数変換すると、(1)の結果を再利用できることに気づきます。
(3) aが奇数の時、(1)からbは偶数になるのでcは奇数になります。これを使って(2)と同じ要領で変数変換を行います。ここでの注目ポイントは、「連続する2つの整数の積は必ず偶数」ということです。
<筆者の解答>
第4問
確率の問題です。
(1)~(4)まで通じて共通の話になりますが、「A:表, B:表」がq回、「A:表, B:裏」がr回、「A:裏, B:表」がs回、「A:裏, B:裏」がt回起こるとすると、
q+r+s+t=8となり、かつ8回後のPの座標を(X,Y)とすると、
X=-1+q+r-s-t, Y=5+q-r+s-tと書けます。
上の4事象は等確率で起こるので、問題文の各条件を満たすような(q,r,s,t)の組み合わせを調べることに終始します。
q+r+s+t=8となる(q,r,s,t)の組み合わせは、「ボール8個と仕切り3個を横一列に並べる場合の数」と同じです。
(3)まではX,Yの値が具体的に指定されているので組み合わせを比較的数えやすいのですが、(4)がかなりの難問です(試験場では捨てるべきだと思いました)。
「X>1かつY>1」となる組み合わせを、「直接数えるべきか?」「余事象を考える方がいいのか?」で初っ端から悩まされます。
ここで、X,Yの式を見ましょう。
Xはスタートが-1なのでX>1の方がレアケースで数えやすいので直接数える方が得策そうです。一方、Yはスタートが5とかなり大きな値で、余事象のY≦1となるケースの方がレアケースで数えやすそうです。
ということで、Xについては直接X>1となる組み合わせを調べ、Yについては余事象のY≦1となる組み合わせを調べるのが一番よさそうです。
お目当ての確率を計算したいなら、X>1となる組み合わせ、X>1かつY≦1となる組み合わせの2つを調べればOKです。この方針決めに時間がかかる問題でした。
<筆者の解答>