ちょぴん先生の数学部屋

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令和の北大理系後期数学 -2023年-

先日行われた2023年度の北海道大学の後期数学を解いてみました。

第1問

 

複利の値とeとの大小を判定する問題です。

 

(1)(2)ともに、このままの形では大小を判定しづらいので、一旦対数を取ってから微分を使って大小を判定すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

放物線上の2点における接線、法線の交点に関する問題です。

 

(1)接線と法線の式を全て調べて連立すればよいです。但し、法線についてはα=0やβ=0の場合が例外扱いになることに注意です。

 

(2)これは数式でAS=BS=QSを処理して求めようとすると地獄を見ます。なので、一旦元の図形に立ち返ってみましょう。

四角形APBQに注目すると、向かい合う角度がそれぞれ直角になっていますね。そうなると、この4点は同一円周上にあることが分かり、さらに直角があるのですから、その円周の直径がPQになることがわかります。

 

こうなればSはPQの中点に過ぎないので、計算がかなり簡単にできます。

 

(3) s=0となるのは、α+β=0となる場合か、αβ=1/4となる場合の2択なのでそれぞれについてtの範囲を検討しましょう。後者の場合は、α+βの取りうる値を調べる必要があります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

確率の問題です。

 

(1)余事象である「XYがpで割り切れない」を考えた方がよいです。何故なら、そうであれば「Xもpで割り切れない、かつ、Yもpで割り切れない」となって考えやすくなるからです。

箱Sの中でpの倍数はpだけ、箱Tの中でpの倍数はp,2p,3p,4pの4つあることに注意です。

 

(2)こちらはベン図を使って考えると見通しが良く、(1)同様に余事象で考えていきます。

その際、箱の中の該当するカードが何枚あるかをきちんと調べる必要があります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

不等式評価の問題です。

 

(1)面積を使ってΣの部分を不等式評価するのが定石ですね。

 

(2) (1)と同様の考え方ですが、そのままだと右側は示せても左側がうまくいきません。というわけで左側の評価をより厳しめにやる必要があるわけですが、それは「最初のいくつかは正確な値で、残りは面積による近似で」という形で達成できます。

 

今回証明した不等式の中辺でn→∞とした値は「オイラー=マスケローニ定数」と呼ばれていて、この記事にて紹介しています。オイラー=マスケローニ定数の存在証明 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

 

<筆者の解答>