2024年も大学入試のシーズンがやってきました。
今回は、大阪大学の文系数学に挑戦します。
※原則文系ユニークの問題のみ解きます。理系との共通問題については理系の記事を参照下さい。
2024年度 阪大理系数学 解いてみました。 - ちょぴん先生の数学部屋
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1. 絶対値付き2次関数に関する面積(30分)
2. ねじれの位置にある2直線に垂直な直線の存在証明(40分) ※理系第3問と共通
3. 素数の不等式評価(10分)
計80分
<体感難易度>
1<3<2
阪大の文系にしては難易度が高めなセットです。
第1問は絶対値付き2次関数の問題で、この問題は全体を考えると落とせないでしょう。
第2問は理系第3問と実質共通の問題で、抽象度が若干緩和しています。とはいえ文系の受験生にとっては相当厳しい問題だと思います。
第3問は素数の問題で少し発想力が必要かもしれません。
<個別解説>
第1問
絶対値付き2次関数に関する面積の問題です。
(1)2つの方程式を連立させればよいわけですが、絶対値が邪魔ですね。xで場合分けして外してもいいですし、解答のように全体を2乗して解消する方法でもいいです。後者を選ぶ場合は、絶対値じゃない方の辺が0以上である条件を付け加えないといけませんが。
(2)左側の面積をS1, 右側の面積をS2とします。S1とS2をそれぞれ積分で計算する方法もなくはないですが計算がより煩雑になってしまいます。
こういう場合はS1=S2⇔S1-S2=0として積分区間を連結すると計算が楽になるんでしたね。
<筆者の解答>
第2問
理系第3問と実質的に同じ問題です。
直線の設定の仕方こそ違えど、本質的な部分は理系の記事で解説してるので、そちらをご覧ください。
第3問
素数を不等式評価する問題です。
(1)これはもう、プッチ神父のように素数を小さい順に数えていくだけですね。本番ではこの問題を真っ先に解いて心を落ち着かせましょう笑
(2) (1)の結果を眺めると、確かに12番目以降の素数は不等式を満たしていることが分かります。
証明方法はもちろん数学的帰納法になりますが、素数には規則性があまりないため、その点をどう考えるかがポイントです。
素数は2以外は全部奇数なので、少なくとも素数の間隔は2→3を除けば「2以上」ですよね(間隔がちょうど2になるものを「双子素数」と呼びます。詳しくはこちら。素数の逆数和と、双子素数のお話。 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com) )
これを利用して帰納法の論法を適用すると、pk>3kを仮定すれば
pk+1 -3(k+1)>-1
という結果が出てきて一瞬ビビります。右辺が負じゃねえか!!これだとダメじゃん!!って。
でも実はビビる必要はありません。pk+1が素数であれば実はこれで十分です。
そもそも、出てきた不等式の左辺は整数なのだから、-1より大きい整数は、0以上ってことですよね。なので、まず
pk+1 -3(k+1)≧0
が言えます。これでもまだ足りませんね。等号が邪魔だ~ってなります。
しかし、今はk≧12以上を考えているんです。つまりpk+1は13番目以降の素数なわけです。そんな素数は、そもそも3で割り切れません。
等号成立を仮にするんだとすると、pk+1が3の倍数という話になってしまい、矛盾するわけです。
よって、等号成立はせず
pk+1 -3(k+1)>0
が言えて帰納法のゴールに到達します。
さて、今回の結果pn>3n (n≧12)ですが、nを∞に飛ばすと、それより大きいpnも自動的に∞に飛ぶことになります。これは素数が無限個存在することの証明になっていますね。以上余談でした。
<筆者の解答>